猫から人に感染する病気まとめ｜原因・症状・感染経路と今日からできる予防法

Neakasa編集部更新日：2025年12月12日 ⏱ 読了時間：約5分

猫と暮らすうえで、日常的な接触で人に感染する病気は多くありませんが、いくつか注意しておきたい感染症があります。本記事では、猫側の原因・症状と人への感染経路・症状をわかりやすく解説し、今日からできる予防法も紹介します。

猫から人に感染する主な病気

1.トキソプラズマ症

猫の原因・症状
トキソプラズマは寄生虫の一種で、屋外に出る猫や生肉を食べる猫が感染しやすいとされています。多くの猫は無症状ですが、まれに発熱、下痢、元気消失が見られることがあります。
人への感染経路・症状
感染源は主に「猫の糞に含まれるオーシストとの接触」や「加熱不十分の肉」です。健康な大人はほぼ無症状で終わることが多いですが、妊婦や免疫力が低い人はインフルエンザのような発熱、倦怠感、筋肉痛が出ることがあり、重症化するリスクもあります。

2. 猫ひっかき病（バルトネラ感染症）

猫の原因・症状
“バルトネラ・ヘンセラ”という細菌が原因で、外に出る猫やノミの寄生がある猫が保菌していることがあります。猫自身はほぼ無症状であるため、気づかれにくい感染症です。
人への感染経路・症状
猫に引っかかれたり、噛まれたりした傷口から細菌が入り人に感染します。感染した人は数日後に傷口の腫れ、発熱、倦怠感、リンパ節の腫れが現れ、ひどい場合は数週間続くこともあります。

3.サルモネラ症（鼠傷寒サルモネラ Salmonella enterica）

猫の原因・症状
生肉や汚染された食材を口にしたり、外でネズミを捕まえて食べた場合に感染することがあります。猫の症状は下痢、嘔吐、発熱などの胃腸炎が中心です。ただし、まれに無症状のまま菌を排泄する「保菌猫」もいます。
人への感染経路・症状
猫の排泄物、食器類、汚染された表面に触れ、その後に口元に触れることで感染が成立します。人の症状は下痢、腹痛、発熱が中心で、幼児や高齢者、免疫力が弱い人は重症化しやすく注意が必要です。

4. 皮膚真菌症（猫カビ：Microsporum canis）

猫の原因・症状
若い猫や免疫力が落ちた猫がかかりやすい皮膚の病気です。円形の脱毛、フケ、かゆみなどが見られ、顔・耳・手足に症状が出ることが多いです。
人への感染経路・症状
猫の毛や皮膚に触れることで直接感染します。人では、赤くて丸い発疹ができ強いかゆみを伴います。手・腕・体など接触部位に出やすく、治療には抗真菌薬が必要です。

5.パスツレラ症（Pasteurella multocida）

猫の原因・症状
猫の口腔内に高い確率で存在する常在菌で、猫自身は症状を示さないことがほとんどです。
人への感染経路・症状
猫の噛み傷から人へ感染することが多い病気です。感染した部位が赤く腫れ、強い痛みが出るほか、発熱・倦怠感を伴うことがあります。傷が深い場合、化膿や関節炎に発展する可能性もあります。

6.瓜実条虫症（Dipylidium caninum）

猫の原因・症状
瓜実条虫は主にノミを媒介して感染します。猫がノミを誤って飲み込むことで体内に寄生し、腹部の不快感や軽度の下痢、消化不良などの症状が見られることがあります。猫自身は軽度の症状にとどまることが多いですが、ノミが体表に寄生していると症状が悪化することもあります。
人への感染経路・症状
人への感染はまれですが、特に小さな子どもがノミを誤って口に入れることで感染する可能性があります。感染すると、腹部の不快感や軽い消化器症状（下痢、腹痛）が現れることがあります。

7.回虫症（猫回虫）

猫の原因・症状
猫の糞便中に回虫卵が排出され、感染源となります。子猫は母猫から乳を通して感染することもあります。感染した猫は下痢や腹部の膨らみ、食欲不振、栄養吸収不良などの症状が見られることがあります。
人への感染経路・症状
人は、猫の糞便に含まれる卵が手指に付着し、そのまま口に入ることで感染します。感染すると腹痛や発熱を伴うことがあり、まれに幼虫が内臓に移行する「内臓幼虫移行症」を引き起こす場合があります。