避妊・去勢手術後に気をつけたい、ペットの健康管理とケアガイド・食事・生活・トリミング

前書き

避妊・去勢手術は、望まない繁殖を防ぐだけでなく、病気の予防や行動面の安定につながる大切な医療処置です。しかし、手術後の生活環境やお世話の仕方を誤ると、ペットの健康に思わぬリスクを与えることもあります。

本記事では、避妊・去勢後のペットにおける「食事管理」「日常生活の整え方」「トリミング時の注意点」の3つの視点から、具体的にどのような点に配慮すべきかを解説します。獣医師監修の知見と信頼できるデータを基に構成していますので、ぜひ参考にしてください。

 

手術後のペットの身体に起こる変化

避妊・去勢手術を受けた犬や猫は、体内の性ホルモン分泌が減少し、基礎代謝や行動パターンに大きな変化が見られます。

 

主な変化としては以下のようなものが挙げられます。

基礎代謝の低下(約20〜30%)

食欲の増加傾向

活動量の減少

体重増加のリスク上昇

調査によると、避妊・去勢手術を受けた犬猫の60%以上が、手術後1年以内に体重が増加する傾向にあることが報告されています(※1)。

これらの変化に合わせて、生活全体を見直すことが健康維持には不可欠です。

 

食事管理|術後はカロリーコントロールが鍵

低カロリー・高たんぱくの専用フードを選ぶ

手術後は代謝が落ち、体重が増えやすくなるため、通常の総合栄養食から、避妊・去勢後用または体重管理用のフードに切り替えるのが理想的です。

これらの製品は、以下のような設計がされています:

低脂肪・低カロリー設計

満腹感を持続させるための食物繊維配合

筋肉量を維持するための高たんぱく設計

市販されている商品では、「避妊・去勢後ケア用」「メタボリックケア」などのラベルがついた製品が該当します。

 

食事量の見直しと調整

手術前と同じ量を与え続けると、肥満のリスクが高まります。体重や便の状態を観察しつつ、10~20%程度減量して様子を見ることが推奨されます。

急激な制限はストレスの原因にもなるため、フードの変更と量の調整は段階的に行いましょう。

 

水分摂取も忘れずに

猫の場合、泌尿器系の病気にかかりやすくなる傾向もあるため、十分な水分摂取を促すことが重要です。

ウェットフードの活用

自動給水器の導入

複数の場所に水飲み場を設置

これらの工夫により、自然と飲水量を増やすことができます。

 

生活管理|落ち着いた環境と適度な運動を

安静にできる環境づくり

術後数日間は、無理な運動を控えさせ、静かで快適な環境で過ごせるように配慮しましょう。特に以下の点に注意が必要です。

傷口を舐めないようエリザベスカラーを使用

トイレや寝床を移動しやすい場所に設置

ストレスを避けるため、音や光の刺激を抑える

動物によっては術後に元気がなくなるケースもありますが、数日以内に食欲や活力が戻ってくるのが一般的です。

 

適度な運動で体重管理

完全に安静にさせすぎると、運動不足により肥満のリスクが高まります。術後1週間ほど経過して問題がなければ、軽い散歩や室内でのおもちゃ遊びを再開しましょう。

小型犬・猫の場合:10〜20分/日

中型〜大型犬の場合:20〜30分/日

個体差はありますが、毎日一定時間の運動習慣を保つことが健康維持につながります。

 

トリミング(修毛)|術後は慎重に再開を

術後すぐのトリミングは避ける

手術から7〜14日間は、傷口の治癒を優先させるため、シャンプーや毛のカットは控えるのが原則です。水分や刺激が傷口に触れることで、炎症や細菌感染のリスクが高まります。

術後に使用したバリカン部分がかゆみを伴うこともありますが、無理に触れず、獣医師の指示に従いましょう。

 

トリミング再開は術後2週間以降が目安

傷口が完全にふさがり、炎症も見られない場合は、術後2週間以降を目安にトリミングを再開しても問題ありません。ただし、初回は以下のように軽めの施術をおすすめします。

足裏・顔周りなど部分カット中心

短時間の施術にとどめる

シャンプーは低刺激の製品を使用

また、トリマーさんに「術後の子である」旨を伝えておくと、より丁寧な対応が受けられます。

 

まとめ

避妊・去勢手術は、ペットにとって将来的な健康と安全を守るための大切な選択です。しかし、術後のケアをおろそかにすると、肥満や病気などの新たなリスクが生じることもあります。

飼い主としてできることは、食事・生活・トリミングの各面で、手術後の体に寄り添った対応を行うことです。信頼できるフードや用品を選び、必要に応じて獣医師やトリマーに相談しながら、愛犬・愛猫の健やかな日々をサポートしていきましょう。

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